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山の水と生きる町、滝沢の底力※岩手二次日報

岩手山のふもとに広がる滝沢市。この町では、なんと99%以上の水道水が地下水でまかなわれています。
透明度の高い地下水は、雨や雪が20年以上かけて地層をくぐり抜け、自然のフィルターでろ過されたもの。
やわらかくクセのない口当たりは、地元の人にとっては日常ですが、都市部から来た人には感動ものの美味しさでしょう。

市内には柳沢大湧口(だいわっくつ)という湧水地があります。
関係者しか入れないこの施設では、まるでマグマのように砂を動かして水が湧き出しています。
1日の水量は25mプールにして70~80杯分。まさに自然の奇跡が、毎日こんこんと湧いているのです。

他の水源も、河川水を非常用に1つ使う以外は、すべて岩手山の地下水。
年間を通じて水温は10度前後で安定し、薬品処理もほとんど不要。最低限の塩素消毒だけで、法的にも安全な飲料水として供給されています。

市は、村時代の2011年から水源保護条例を施行し、水質保全に力を入れてきました。
市の長谷川課長は「環境を汚さないことが、きれいな水の確保につながる」と話します。
これは、単なるエコ啓発ではなく、実際に生活と直結する教訓でもあるのです。





さて、この事実を私たちはどう受け止めるべきでしょうか?

この滝沢市のように、日本は本来、山の恵みと清流に支えられた“奇跡の国”です。
国土の約7割が山岳地帯、急流な川、豊かな森林。ヨーロッパと比べても引けを取らないどころか、むしろ上回る自然環境を持っています。

しかしながら、こうした事実を私たちはどれだけ「教育」されてきたでしょうか?
敗戦後の日本は、戦勝国主導の価値観教育を受け続け、勤勉さ、規律、郷土愛といった「日本らしさ」をどこか否定するような空気の中で育ちました。
その中で、「日本は恵まれている」「日本人であることに誇りを持っていい」という意識が抜け落ちてしまったようにも感じます。

気づけば、国土の一部は買われ、若者は減り、都市は疲弊し、「30年の停滞」は日常となりました。
そんな中で滝沢市のような“地に足のついた暮らし”をしている地域を見ると、日本がまだ失っていない価値に気づかされます。

水の話をきっかけに、私たちが忘れかけている「日本の強さ」や「美しさ」をもう一度見直すべきではないでしょうか。
教育や政治、メディアに任せきりにせず、自分たちで「守るべきものは何か」を考え直す時がきています。

日本はまだ終わっていません。むしろ、原点にこそ、未来があるのかもしれません。

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